2007年11月17日

ビートルズ入門者向けCD

 ひきつづいて中山康樹の『超ビートルズ入門』を読んだ感想です。
 前回、こういった場合、いちばんおいしいところを勧めるのが紹介者の役割ではなかと書きました。
 となると、じゃあおまえは入門者に何を勧めるんだといわれそうです。で、参考のために一応ぼくが初心者に勧めるものを書かせてもらいます。といっても、先に書いたとおりぼくはさほど熱心なビートルズ・ファンでもないもので、ぼくの意見が参考になるかわかりませんが、でも、一般論でいって誰がみてもこのへんが妥当というところはあると思うのです。
 まず、ビートルズというのは活動中に作風を大きく変化させたバンドなんで、一枚のアルバムでビートルズを代表させるのは無理があるとおもいます。そこで、前期・中期・後期から一枚づつと、ビートルズを入門するなら3枚くらいは聴きたいところだとおもいます。
 となると、後期は『アビーロード』できまり、中期は『ラバーソウル』できまりでしょう。『レット・イット・ビー』や『サージェント・ペパーズ……』から聴きはじめるよりずっといいです。
 そして前期ですが、これはオリジナル・アルバムではなく、63〜64年頃の軽快なロックン・ロールのヒット・ナンバーを集めたベスト盤を勧めたいところです。
 なぜベスト盤などと言うかというと、ビートルズがアルバムという単位を中心において作品づくりをはじめるのは65年の『ラバーソウル』以後で、それ以前はシングルが主体だったからです。これは当時のロックはみんなそうだったので、『ラバーソウル』以後のビートルズの影響で、ロックはアルバムで聴くものになっていったのですね。だから『ラバーソウル』以前のビートルズを聴くなら、アルバムよりシングルを集めたベスト盤のほうがいいわけです。
 むしろ問題は63〜64年頃の代表的なナンバーをうまく編集したベスト盤があるかという点になります。
 これが、『超ビートルズ入門』に載っていた正規盤を見ると、どうもこれが一番と勧められるものがありません。『1』は「プリーズ・プリーズ・ミー」が入ってないなど問題がありますし、コンピものの『パスト・マスターズ Vol.1』はオリジナル・アルバム未収録のものを集めたものなので、この場合は勧められません。
 とすると、いま出ているもののなかでは、赤盤(『1962年〜1966年』)のCD1を、1曲目をとばして2曲めから聴くのが、一番いいかなと思います。もっとも、これはカヴァー曲は代表的なものも入ってなく、登場時のビートルズの勢いを感じるにはベストの選曲とはおもいません。それに当然2枚組であり、CD2のほうは『ラバーソウル』とダブる曲が出てくるなどの難点が出てきます。
 この他にもおそらく廉価盤などで様々な編集でビートルズのベスト盤は出てるのでしょうが、よくわかりません。
 ビートルズほどのバンドなら、63〜64年頃の登場時のビートルズのヒット・ナンバーの数々を、CDの収録時間限界まで詰め込んだベスト盤が正規盤として出ていてもいいとは思うのですが。


 最後に、今回あらためてビートルズを聴いてみて、おもったことを一つ。
 どうも高校時代のぼくは、それでもビートルズの各時代の作品をまんべんなくは聴いていたようで、聴き逃していた部分を聴いても、それほど大きな新発見というのはなかったです。
 でも、以前も聴いていたものが、現在聴くと違ったふうに聴こえた部分があります。
 それは初期のビートルズの演奏が思っていたよりずっと上手いということです。
 こんなことを書くと、ビートルズがヘタだとおもってたのかとファンに怒られそうですが、はっきりいって高校生の頃に聴いたときにはビートルズの演奏能力が上手いとはおもえませんでした。それは、後から聴いた世代からすれば、ビートルズ登場当時のエレキ・ギターの音って、すごく情けない音に聴こえたからです。
 エレキ・ギターという楽器は1960年代末に一気に性能アップした楽器で、ジミ・ヘンドリックスとか、あのへんの時代以後のエレキ・ギターの音と、1960年代前半の音とでは、それこそマシンガンと水鉄砲くらいの迫力の差があります。さらに1970年代に入ればスタジオ録音の技術も格段に進歩し、たいして演奏能力のないバンドでも立派で迫力あるサウンドを作りだすようになります。
 ぼくのように、1970年代以後の楽器や録音のレベルで育った人間からすれば、初期のビートルズは単にその録音された音からいって、すごく情けない音を出すバンドに思えたし、けれども曲自体は親しみやすくてすごくいい曲が多いな、という印象をもっていたわけです。
 でも、それ以後、ジャズとか古いブルースとかも聴くようになり、格段に進歩する前のエレキ・ギターの音などにも親しみ、当時の楽器やスタジオ録音の限界もよく理解したうえで、もう一度初期のビートルズを聴いてみると、以前聴いていたときより格段に上手いという印象をかんじました。もちろん、超絶技巧とはそういった上手さではないのですが、コンパクトによくまとまった力のあるバンド・サウンドという気がしました。

 このコンパクトでまとまったサウンドという点でいえば、ビートルズって、エルヴィス・プレスリーというよりは、バディ・ホリーからより多くのものを受け継いでいたのかもしれません。

posted by aruka at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | ポピュラー音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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