2006年11月11日

恩田陸の本の装幀

 本が好きという人のなかには、本に書かれている内容が好きだという人と、それだけでなくて本というもの、そのものに愛着を感じるという人がいるんだとおもいます。
 最近、恩田陸の小説をハードカヴァーで何冊かまとめて読んだんですが、この人はたぶん本というものが好きな人なんじゃないかとおもいました。本の装幀がどれもすごくいいのです。
 装幀がいいというのは、単純にデザイン的に優れているという意味ではなく、こういった内容であればこういった装幀で読みたいと思うような装幀、装幀が内容をさらに印象づけ、補強しているような装幀ということです。
 今回読んだなかで、特に気にいった装幀というと『麦の海に沈む果実』ですね。この本の表紙は紫を基調としたイラストで、全体にこのイラストが内容の雰囲気を盛り上げています。この本は背表紙も良くて、背表紙にもイラストがあって文字がデザインされていて、本棚に並んでいるのを見ても雰囲気があります。全体は白い本ですが、花布(中身の背の上下両端に貼られた布のこと)が紫で、これが表紙のイラストの紫と合わせてあって良いのです。それにこの本は各章ごとに1ページぶんのイラストがあって、これがまた良い雰囲気です。なんとなく舞台の上の情景を思わせるイラストなんですが、1章ごとに「次の一幕が始まります……」といったふうに物語に引き込まれていくかんじがします。
 『月の裏側』も良いですね。こっちは黒が基調で、カヴァーも黒ならカヴァーをとった中身の装幀も黒で、オビをとって本を開くと、白いページの周囲に見える部分がぜんぶ真っ黒で、黒で縁どりされているように見えるのです。
 最近、評判になったらしい『夜のピクニック』は、これらに比べると表紙を見たときはイマイチかとおもったんですが、これは背表紙がいいですね。すごくシンプルでいて雰囲気があります。本文を読んでみると、ときどき一息つくように出てくるイラストが、内容での主人公たちも一息ついているようで、おもしろい効果があるとおもいました。
 その他にもいろいろ装幀がいい本があります。こういう装幀に作者がどこまでタッチしているのか知りませんが、これだけいい装幀が揃っていると、やはり作者自身の意図かなとおもえます。
 ぼくはかさばるハードカヴァーより場所をとらない文庫のほうが、持っているには便利だとおもっていますが、これだけこだわってくれるとハードカヴァーで持っていたい気になりますね。
posted by aruka at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 本、小説、マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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