2006年10月19日

ミステリーって売れてるのか?

 クリスティについて書いたところでも書きましたが、現在、日本で売れている小説本は広義のミステリーの比率がかなり高いものの、コアの本格ミステリのファンというのは、そんなに数は多くないんじゃないかとぼくはおもっています。
 それを端的に感じるのは、国書刊行会から出ているミステリーの充実ぶりですね。
 もともと国書刊行会は一部の好事家はどんな高い金を払っても欲しがるものの、一般的に広く売れるわけではない作品を、多少値ははってもきちんと翻訳してくれることで定評のある出版社です。
 けれど、ミステリーに限れば、黄金時代の極め付きの名作といっていい作品が、けっこう国書刊行会から出ていて、それによってようやく日本語でミステリーを読んでいる人間にも黄金時代の全貌がつかめてきたところがあるとおもいます。
 例えばアントニー・バークリー(フランシス・アイルズ)なんて、国書刊行会が火を点けなければ翻訳がすすまなかった様子で、でも読んでみるとどうして未訳だったのかわからないほどおもしろいものばかりです。
 ぼくはどうしてこういうのは文庫で出ないのかと思うことが多いんです。べつに難解でもなくて読みやすいし、ふつうにおもしろいし、べつに一部の好事家だけが読むものっていう気がしないんです。どうしてこういうのが国書刊行会からでないと出ないのか、謎ですね。
 それでも翻訳されてるんだから、まあ、それはそれでいいんですが、それでも問題はなきしにもあらずというところがあります。
 バークリーなど、一冊目から順にまとめて読みたい気分にさせられる作家なんですが(今回はこの手でいこう、次はこの手でいこう……という作者の息づかいが感じられるからです)、ハードカヴァーばかりだと、全部揃えようとするとやたらに場所をとってしまいます。日本の住宅事情からすると、何冊も揃っているシリーズものは文庫のほうが(たとえ値段が高くついたとしても)ありがたいもんです。
 こういうのって、ある程度たったらまとめて文庫にならないんですかね。
 セイヤーズは文庫で出たのに、あんまり後が続いていかないで、国書刊行会や、その後に続く新樹社や晶文社などのハードカヴァーによる翻訳ミステリが充実していくのをみると、やはり本格ミステリって、あまり売れないのかなという気になってきます。
 まあ、出版関係の事情には詳しくないもんで、実際どのくらい売れているのかは知りませんが。
posted by aruka at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 本、小説、マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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