2007年01月15日

マイケル・ブレッカーが亡くなったそうです

 おとといの13日にマイケル・ブレッカーが亡くなったそうです。57歳で、白血病だったそうです。ジャズマンのなかにはもっと極端に夭折の人も多いのですが、上の世代にあたるウェイン・ショーターなどが現在も驚異的な若々しさで活動しているなか、やはり早いものだとおもいました。
 といっても個人的にはマイケル・ブレッカーは有名サックス・プレイヤーのなかでは、むしろほとんど思い入れのない人にあたります。というか、どうしてこの人があんなに評価されるのかという謎が、この人のアルバムをいろいろ聴いてみた理由でもあります。
 なんだか一時期、マイケル・ブレッカーがサックスの奏法のすべてを変えたとか、異様に高く評価している評をときどき見かけたのです。しかし、どう変えたかは説明してないわけです。個人的にはどこがそう評される理由なのかまったくわからなかったもんで、聴いてみたりしていました。結局わかりませんでしたが。
 とくにフュージョンからジャズに移行しはじめた頃のこの人のジャズ演奏にはほとんど魅力をかんじませんでした。スタイル的には遅れてきたハードバップというかんじの50年代風の男性的なテナーで、機械的な速弾きなわけですが、フレーズに味がなくて印象に残らず、アドリブがつまらないうえ、リズム隊に切り込んでいかずに上に乗ってるだけという感じでリズム的な迫力もありません。これで50年代に登場していたらほとんど注目もされないまま終わったんじゃないかという印象でした。彼が思い入れのあるというコルトレーンより、むしろジョニー・グリフィンとかと近いタイプでしょうか。
 一方で好きなのはフュージョンの演奏で、強烈なファンク・ビートをバックにするとリズム隊に切り込まない奏法も問題ないし、作編曲性の強いサウンドのなかではフレーズの無味が気にならず、むしろ彼の機械的な速弾きが曲に攻撃的なアクセントを与えている気がしました。とくに EWI などシンセや電化されたサックスの使用にかんしては第一人者というべきで、彼に並ぶ人を思いつきません。
 彼のジャズ演奏にそれでも味が出てきたなと思ったのは2000年の『Nearness Of You』あたりでしょうか。でも、スタイルは50年代〜60年代あたりのアコースティック・ジャズそのままだし、といって演奏は50年代〜60年代あたりの名盤の数々をこえるほどのものとはおもわなかったんで、個人的にはジャズを演奏する彼は、やはり最後まで遅れてきた中堅ハードバッパー以上のものではなかったです。
 近年は彼はジャズ・ジャーナリズムによって「テナーの巨人」といった呼び方がされてました。それは伝統的なアコースティック・ジャズのスタイルで、男性的でスケールの大きいテナーを吹くジャズマンが同時代に一人ぐらいいてほしいという、ジャズ・ジャーナリズムの願望によって付けられた称号だったのでしょう。たしかに、ウェイン・ショーターであれば狭っくるしい伝統になんて収まってるタイプではないし、デイブ・リーブマンはずいぶん前からソプラノのほうがメイン楽器になっているようなんで、無難なのはジャズ転向後のマイケルということになるのでしょうか。たしかマイケルの前は、晩年になって鋭さと攻撃性を失った頃のジョー・ヘンダーソンが「テナーの巨人」と呼ばれてました。
 しかし、ジャズ・ジャーナリズムが期待する「テナーの巨人」といったイメージにぴったりと収まってしまう程度の演奏しかできないジャズマンが、真の意味で「巨人」といえるのでしょうか。
 やっぱりぼくは、マイケル・ブレッカーであれば、ブレッカー・ブラザーズの『Heavy Metal Be-Bop』や、ステップス・アヘッドの『Live in Tokyo 1986』など、フュージョン・バンドをバックに EWI やエレクトリック・サックスを吹いていた頃の演奏が真骨頂だったとおもいます。
 といっても、おそらく彼自身はフュージョンよりジャズをやりたかったんでしょうが。
posted by aruka at 20:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ポピュラー音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

短歌「閉ざされた本」

木製の扉をノックするきみの夜と帽子と閉ざされた本

少年の遠い約束 夏の日は時計のこわれた森で生きてる

凍雪が銀の音をたてて降る夜ぼくは蹄で灰の野をゆく

森のなかの寝台 雪がつもる夜に銀河に指でなまえを書いた

少年が寝台列車でみる夢の中では青いままの庭園

閉ざされた闇夜の森の奥にある巨大な時計につづく吊り橋

城へ至る探求の旅 森を行くきみの後から雨はついてきて

梢の空がステンドグラスの夜の森 少女の額にほどこす儀式

posted by aruka at 01:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 短歌、詩など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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